その1~2までは今回の「その3」の前置きとなる書き出しでした。
その3はその1の最初に戻って山本理顕さんをはじめとする地域社会圏研究会著書「地域社会圏主義」について。
「地域社会圏」は、今となっては家族の住まい方が多様化しているから、必ずしも「家族」を前提としない住まい方でいいんじゃないの?ということを基点とし、500人程度の人たちを一つの生活単位として考え、社会的変化にフレキブルに対応できる賃貸形式をとりながら「住人たちによる相互扶助」のシステムを目指しています。
「地域社会圏主義」では、「一住宅=一家族」に替わる、新たな住まい方とその運営システムの提案をどこまでリアルに落とし込めるか、建築、経済、エネルギーなど、各方面から検証していきます。
(システムそのものの説明ではありませんが、
参考サイトです。)
地域社会圏の中でソフトの面でもハードの面でも大きな核となっているのが新しい賃貸形式。これまでの集合住宅では「専用部分をできるだけ大きくして共有部分をできるだけ小さくする」という考え方でしたが、これに対して地域社会圏を構成する住宅は「専用部分を小さくして、共有部分を多くする」という構図の反転。住人が生活に必要なスペースを「容積借り」し、風呂、トイレ、キッチンの設備などを「共有」します。
本を開いて最初に序文を読んだ際、自身の今の生活からこの提案の生活との間に大きなギャップが生まれ、提案の未来像がすんなりと飲み込めなかったのが正直なところ。このギャップを埋めるためにもこれまでの自身の経験補正が必要となったために、前々回、前回の「シェア」と「器の変化」について身近な経験を整理した次第。
必要なときに必要な分だけスペースを借り、同じ住人とシェアできる部分はシェアして設備投資やエネルギーの効率化を図る。
ということが、「(想像だけど)実感として」理解できたことは、本を読んでいく上で重要でした。
ここでは紹介しきれないほど、検証の上に地域社会圏の生活が提起されていますが、山本理顕さんが対談の中で、「地域社会圏は考え方の問題なので、既存の街を利用しながらその住み方を変えることも十分にできると思います」と、必ずしも全く新しく建築することを前提としていないところにこの「考え方」には応用の巾があります。
試しに浜松の街中、新しい集合住宅、シェアハウス、寮、住宅など、「住まい方」をこの考え方で妄想。。。 やはり真っ先に近隣の住人が気になりますね(笑)。
そんなことを含めてアレコレと妄想が広がる妄想族にオススメの一冊でした。